モロッコ
国旗のデザインの由来と意味
17世紀から現在まで続くアラウィー朝の伝統色、赤の地色に、イスラムの神聖な色である緑で「スレイマンの印章(ソロモンの印章)」が描かれた国旗。
この五線星は『旧約聖書』のソロモン王に由来するシンボルで、実は星ではありません。神の加護があるという災厄除けの護符で、民衆の平穏と国の安泰・発展の象徴とされています。古くから幸運のシンボルとして、建物、衣服などに使われてきました。
モロッコはイスラム教の国です。なのに、ユダヤ教やキリスト教の聖典『旧約聖書』の主要人物の象徴が使われているのは不思議に感じるかもしれません。しかし、イスラム教の聖典『クルアーン(コーラン)』の多くの部分が『旧約聖書』と類似の内容になっています。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、同じように唯一神を信じ、非常に近い伝承を持った上で違った発展を遂げてきた宗教だからです。
現王朝のアラウィー朝が始まった頃には無地の赤旗が使われていましたが、他の多くの国でも同じ旗が使われていたため、1912年に「スレイマンの印章」が付け加えられました。
モロッコの国名について
ムラービト王朝の都「マラケシュ」に由来する国名。「マラケシュ」とはアラビア語で、「遠く離れた西の都」を由来とする説や、「要塞や砦」「日の没する地の王国」を起源とするなど諸説ある。
モロッコの歴史
- 古代にはフェニキアやローマが植民地を建設していた。
- 7世紀にアラブ人のウマイヤ朝が攻め入り、イスラム教を広める。
- 8世紀後半以降はイスラム諸王朝が興亡を繰り返し、1660年、現在の王朝につながるアラウィー朝が成立。
- 19世紀になるとスペインやフランスが進出し、ドイツとの抗争の末、1912年に大部分がフランス領に、一部がスペイン領となる。
- 第二次世界大戦後の1956年、フランス、スペインからモロッコ王国として独立。1962年、立憲王国になる。
- 治安は穏やかだったが、2011年に民主化を求めるデモが活発になり、国王の権限を縮小する憲法改正がなされた。
モロッコの国データ
正式名称 | モロッコ王国 |
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英語表記 | Kingdom of Morocco |
漢字表記 | 摩納哥 |
首都 | ラバト |
略号 | MAR |
面積 | 44万6000㎢(日本の約1.2倍) |
人口 | 3603万人 |
通貨 | モロッコ・ディルハム |
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言語 | アラビア語、ベルベル語、フランス語 |
民族 | アラブ人、ベルベル人 |
宗教 | イスラム教(スンニ派) |
独立年 | 1956年にフランスとスペインから独立 |
国旗の比率 | 2:3 |
在留邦人数 | 362人 |