丸いシンボルを使った国旗

丸いシンボルを中心に置いた円形旗は、旗章学(旗について学ぶ学問)では「ディスク」と呼ばれています。


実は、西洋の紋章ではあまり使われなかった形です。円形は太陽の象徴として、太陽信仰がとくに栄えたオリエント(メソポタミア,エジプトやその周辺)やインド、南米のインカなどで盛んに使われていました。

そもそも円は、普遍的に「全体性」や「完全性」をあらわすシンボル。
永遠・無限・宇宙… といった意味が含まれていて、始まりも終わりもない不思議な図形です。古代インドの曼荼羅や、中国の陰陽五行思想などでも円形を宇宙の理想的な形と捉えていたりと、東洋では古代から馴染み深い形でした。

国旗の世界の中でも、丸いシンボルは太陽をあらわしていることが多いですが、国によっては、満月をあらわした国旗や、巴形(ともえがた)で易学の陰陽をあらわした国旗などがあります。

この記事では、日本の「日の丸」と同じように、円形のシンボルを使っている国旗を紹介します。


バングラディシュの国旗


バングラディシュは、以前はパキスタンの一部でしたが(インドを挟み東西に離れた東パキスタン州)1971年、激しい独立闘争の末に独立を果たしました。

真っ赤な円は太陽、深い緑色はイスラム教の伝統色。豊かな森林から昇りゆく太陽の恵みや、暗黒時代を脱した後の夜明けがあらわされたデザインです。


バングラディシュは、国民の約90%がイスラム教徒というイスラム教の国。イスラム教の国では、三日月と星のシンボルがよく使われていますが、この国旗では太陽が使われています。デザインしたのは芸術家のカムルル・ハサンという人物で、当初は丸い太陽の中にバングラディシュの地図が描かれていましたが、縫い合わせて旗を作る時、中央部が重くなるという理由から地図は省かれることになりました。


パラオの国旗


海にぽっかり浮かぶ満月の国旗。日本やバングラディシュの国旗と似ていますが、実は対称的な景色が描かれています。

「地上最後の楽園」と呼ばれ、美しい海に囲まれたパラオでは、満月がとても美しく見えるそうです。満月にまつわる物語や伝説もたくさんあるのだとか。


独立前の1979年、国旗のデザインコンペが行われ、1,000以上の応募作品の中からこのデザインが選ばれました。そして1994年の独立時に、日系人のクニオ・ナカムラ初代大統領が正式に採用してパラオの国旗となりました。


ラオスの国旗


東南アジア最大の大河、「母なるメコン」と呼ばれているメコン川が流れる内陸国です。

ラオスの国旗には、このメコン川に映る満月が描かれています。


この旗のデザインはもともと、1952年以来、社会主義政権のラオス愛国戦線(パテト・ラオ)が使用していたもので、1975年の独立時に採用されました。社会主義国家では一般的に星をシンボルとしていますが、月をシンボルにしている点で珍しい国旗。一見しただけではわかりませんが、夜空に浮かぶ月ではなく、満月の光が川に映っている景色が描いているところに趣深さがあります。


韓国の国旗


太極旗(テグキ)」と呼ばれる韓国の国旗。李氏朝鮮(朝鮮王朝)の時代から国王の旗として使われ、国が変わっても旗として受け継いできた、歴史と伝統のあるデザインです。

使用されている「太極」と「」のシンボルはどちらも、陰陽五行(いんようごぎょう)の概念を表すための図象。


陰陽五行は、古代中国に生まれた自然哲学の思想です。ものすごく簡単に解説すると、昔の中国の人が自然観察をしてわかったことをまとめた「万物の法則」。インドや日本にも伝わり、東洋医学・ヨガ・太極拳・茶道・風水などで実践されていて、暦をはじめ、年中行事・お祭りなど、日本の生活文化とも密接な関わりを持っている考え方です。

ひとことで言うなら、バランスのとれた状態が一番。ということなのですが、専門的に学ぶとなると奥が深く、簡単ではありません。太極旗に描かれている四卦についても、すべて知っている人は韓国国内でも20%にも及ばないのだとか。(太極旗を扱うときには、上下を間違えないように注意しましょう)


モンゴルの国旗


かつて、チンギス・ハンが遊牧民を統合し大帝国を築いた国、モンゴル。

ひとりの皇帝が統治するのではなく、腹心たちがそれぞれ分かれて集団を作るという形が躍進の鍵となり、最盛期には地上の陸地の約4分の1をモンゴル帝国が占めていました。


その後急速に衰退し、清朝の支配下に置かれたのち、1911年に独立。1924年にはソビエトの後ろ盾で社会主義国になりましたが、1992年に社会主義を放棄して現在のモンゴル国になりました。

ソヨンボ文字は、当時導入が検討されていたチベット仏教の仏典を書き写すために考え出された文字です。(残念ながら、あまり普及はしなかったそうです)この文字を使って文章を書くときには、文章のはじまりに「冠頭記号」というシンボルマークを使うのですが、このマークが、国旗に描かれているシンボルです。現在ではソヨンボと言えば、このシンボルのことを指します。

丸いシンボルは、このソヨンボの中にあります。色々な形が組み合わさっている中で、上から、炎、太陽、月、棒と矢じり、巴形の2匹の魚、矢じりと棒、左右の長方形は城壁。形のそれぞれに意味がありますが、全体をひとまとまりのシンボルとして、自由と主権や国家の理想があらわされています。


その他、丸いシンボルを使っている国旗

ここまで紹介したのは、全てアジアやアジア周辺の国々の国旗です。

ヨーロッパではニジェール🇳🇪、北マケドニア🇲🇰が国旗に丸いシンボルを使っていて、どちらも太陽をあらわしています。


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