国旗の用語と基礎知識②国旗のルール

国旗のデザインに、国際的な決まりはありません。それぞれの国で、自由にデザインを考えることができます。

例えば、企業やブランドのロゴデザインでは、ガイドラインが明確に決められます。色の指定や、背景色が変わった時のルール、余白についての決まり事などを詳しく規定し、いつでも一貫したイメージを提供することが大切とされています。


でも、国旗はもう少しラフに規定されています。どこかの国の国旗を「画像検索」してみると、出てくる国旗の色や模様が、微妙に違うのを確認できるはずです。図象が細かい国旗だと、モチーフの線の太さやバランスが違ったりもします。

重要なシンボルなのに、案外きちっと決められていないのは不思議ですよね。その一方、国旗の掲揚方法についてはプロトコールと呼ばれる国際儀礼上のルールがあります。

デザインの規定にはラフな部分もあるのに、扱い方には細かい決まりがたくさんあってややこしい。これは国旗の特徴のひとつです。また、他のデザインと少し違うという意味で、おもしろさのひとつでもあります。この記事では、国旗の案外ラフなところと、守るべきルールの両方を紹介します。



いろいろな国旗の形と比率


国旗の形は自由ですが、世界のほとんどの国旗は矩形(くけい)です。※全ての角が直角の四辺形、長方形

それぞれの国で、旗のデザインが一番美しく見える比率を採用できるので、世界には色々な比率の国旗があります。でも、国連やオリンピックで世界の国旗を一堂に並べるときには、縦・横の比率が2:3や、3:5に揃えられます。大きさの違いによって、国際的な場で不平等な印象を与えないように、共通の比率で掲げられています。

変わった形として有名な、2つの国旗

NEPALネパールの国旗の図説画像/2つの三角形を合わせたような、ユニークな形で知られる国旗。旗の形はヒマラヤの山並み、ヒンドゥー教、仏教を意味する。赤は国家のシャクナゲの色で国民の勇気を、青は平和をあらわす。もともとは、2つの三角形の旗だった。また、今の国旗に変わる1962年まで月と太陽には顔が描かれていた。月はネパールを統一したシャハ王家の、太陽はラナ家(宰相家)のシンボル。南アジアでは戦いの時、三角の旗をよく使用した。

ネパールの国旗は世界で唯一、三角形を2つ繋げた形をしている


グザグは9つで、9番目の湾岸イギリス保護領であることをあらわしている。赤茶色はもともと赤だったが、太陽光で変色したことをきっかけに、1949年公式の色になった。タテ・ヨコの比率は11:28。以前は11:28でもっと横長だった。アラビア半島東部にある、石油国。中東の多くの国では、労働力を外国人に頼っている。カタールでも、85%以上が他国の国籍を持った人。アラブ人の割合は40%。

世界で一番細長い形をしているのがカタールの国旗


正確に決めにくい、国旗の色指定


国旗の色を、色彩標準規格などで厳密に決めている国は、実はいまだに少数派。法律で色が決められている場合でも、「海の青」や「血の赤」といった、抽象的な指定のことが多いのです。日本の国旗も、太陽の部分は「紅色」としか書かれていません。

なぜ、あいまいな表現を使うのでしょう?

旗の色調は、使う生地や染め方、染料などの違いによって発色が変わるものです。全世界で統一された色を出すのはむずかしく、「絶対にこの色じゃないと国旗と認められない!」となると、国旗を作るハードルが高くなってしまいます。ですから、ある程度は融通がきくようにしている方がいいだろう。ということで、許容範囲が持てる「紅色」などの表現が使われています。

とはいえ、目安があった方が作りやすいため、各国政府の文書によって、(実際には定義されていなくても)CMYKやRGB、パントーン色見本などで旗の色を示していることがあります。また最近では、ナイジェリア🇳🇬・ケニア🇰🇪・マラウイ🇲🇼・シエラレオネ🇸🇱など、とくに英連邦諸国では、英国色彩標準の色票番号で規定している国も一部には見られます。


国旗の色についての雑学

世界の国旗を塗り分けるために必要なのは、白と黒を含めて9色。 色々な「赤」や、色々な「青」にこだわらずシンプルに描くなら、12色入りの色鉛筆やクレヨン、マーカーなどがあれば充分です。


国旗を扱うときのルール(プロトコール)


国旗は基本的には、自国の国旗が優先されます。日本で2つ以上の国旗を並べるときには、日の丸を最上位に掲げます。また、外国の国旗を掲げるときには、必ず日本の国旗を同時に掲げること。とされています。

ただし、海外からのお客様を迎えるときには、相手の国に敬意を表する意味で、プロトコールと呼ばれる国際儀礼上の慣習に従います。(国によっても、独自のルールが定められています。)


図のように、ポールや卓上に掲揚するときには、右側(向かって左)上位が原則です。
壁に併揚する場合にも、外国旗を壁に向かって左に、日の丸を右にして併揚します。


他にも、国旗の扱い方にはたくさんの決まりごとがあり、案外ややこしいです。 実際に国旗を掲揚するときや何かのデザインに使うときには、色々な資料を確認した上で扱うようにしましょう。

例えば、一本のポールに複数の国旗を上下に並べてしまうことは、国際的に見て重大なマナー違反になってしまいます。また、表から見ても裏から見ても同じデザインに見えるように決められている国旗(ブラジル🇧🇷など)や、表と裏が違う国旗(パラグアイ🇵🇾)、ホイスト(旗竿側)が右にある国旗(サウジアラビア🇸🇦・イラク🇮🇶)、縦にする時に独自のルールを持っている国。などがあります。


外国の国旗を縦に掲揚するときのルール

特に、縦掲揚のルールについて、インターネットで見られる国内情報には誤りがたくさんあります。(画像検索で出てくる画像、有料素材などでも間違っていることが多いので要注意…)どれが本当かを調べるのはなかなか困難です。専門の書籍に記載されているなど、信頼できる出典元がある情報のみをまとめました。※現在、当ブログ管理人が確認できる範囲で

  • 右回転して吊るす国旗(フランス🇫🇷・イタリア🇮🇹・英国🇬🇧 など)
  • 右回転して垂直に反転する国旗(南アフリカ🇿🇦・フィリピン🇵🇭・チェコ🇨🇿・カナダ🇨🇦・ドイツ🇩🇪・ロシア🇷🇺・ガーナ🇬🇭・ポーランド🇵🇱 など)
  • カントン旗は、カントンを左上部に置くのが基本(アメリカ🇺🇸 ・オーストラリア🇦🇺・ギリシア🇬🇷 など)※ 右回転して垂直に反転。
  • カントンを右上部に置いて吊るす国旗(マレーシア🇲🇾・リベリア🇱🇷 など)※ 右回転。
  • 縦型の専用レイアウトがある国旗(サウジアラビア🇸🇦・イスラエル🇮🇱・スロバキア🇸🇰・サンマリノ🇸🇲・モンテネグロ🇲🇪・リヒテンシュタイン🇱🇮・カンボジア🇰🇭・ 北朝鮮🇰🇵・ドミニカ国🇩🇲 など)※ 聖句、紋章やシンボルが横向きにならないようになどの配慮がされています。

よく記載されている例で「縦長に掲揚することを禁じている国(オランダ🇳🇱・ブラジル🇧🇷・パキスタン🇵🇰・エチオピア🇪🇹)」といった表現があるのですが、絶対的にタブーというものではなく、スポーツの国際大会などでは縦に掲揚されることがあります。
重要な場面では、念のため当該国の大使館などに問い合わせてみてください。


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