レバノン
国旗のデザインの意味と由来
赤は勇気と尊い犠牲を、白は純潔と平和をあらわし、中央にあるレバノン杉は、この国のシンボルで富と力をあらわします。
レバノン杉は良質な木材で、旧約聖書にも登場します。古代イスラエルのソロモン王は、このレバノン杉で神殿を作り、古代オリエントの航海民族フェニキア人はレバノン杉を造船に使い、また権力者の棺にもなったといいます。(しかし、度重なる乱伐で今では絶滅の危機にあるといわれ、世界遺産に登録され保護されています。)
かつてはレバノン杉の幹の色が茶色でしたが、1990年代半ばから杉の全体が緑になりました。
レバノンの国旗の歴史
レバノン杉は、オスマン帝国支配の時代から旗のシンボルとして使われていました。最初は真っ白な旗の中央にレバノン杉が描かれているシンプルなデザインでしたが、第一次世界大戦後のフランス領時代には、三色旗の白い部分にレバノン杉が置かれました。
1943年、レバノンはフランスからの独立を宣言して国旗を制定しました。この旗のモデルになったのは、第一次世界大戦中に、フランスと共に戦ったレバノン軍の団旗です。
現国旗に近いデザインですが、レバノン杉の幹や枝が茶色で描かれ、旗の形も横長でした。
レバノンの国名について
アラビア語で「白」をあらわす「ルブナーン」に由来するが、それは地中海から見える雪山にちなんだものとされている。
レバノンの歴史
モザイク国家と言われているレバノンでは、様々な民族や宗教の人々が一堂に介し生活をしています。
住民の大半はアラブ系ですが、イスラム教徒とキリスト教徒に二分されていて、独立後は両者の対立から内戦が繰り返されました。
宗教・宗派の均衡を保つため、国会におけるイスラム教徒とキリスト教徒の議席を同数にし、宗派ごとに細かく定員を定めています。
- 古代からフェニキア人の都市がつくられ、地中海貿易の中心地として栄える。
- 紀元前6世紀には新バビロニアが征服。その後、アレクサンドロス大王の征服、ローマ帝国やビザンツ帝国の支配を受ける。
- 7世紀にはイスラム教が広まるが、山地部はキリスト教の一派などの拠点となる。海岸部では、11世紀末から十字軍による侵略が始まる。
- アイユーブ朝、マムルーク朝に支配された後、16世紀にはオスマン帝国に併合されるが、半独立的な勢力が支配を続ける。
- 19世紀にキリスト教とイスラム教の間で宗教対立が起こる。
- 第一次世界大戦後、1920年にフランスの委任統治領となり、1943年に完全独立。金融業などで経済的に発展するが、1975年から内戦が起こる。
- 1978年以降、イスラエル軍が侵攻。イスラエルやアラブ諸国との紛争が続いている。
- 2020年、ベイルート港での大規模爆発が発生した。
レバノンの国データ
正式名称 | レバノン共和国 |
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英語表記 | Republic of Lebanon |
漢字表記 | 黎巴嫩 |
首都 | ベイルート |
略号 | LBN |
面積 | 1万452㎢(岐阜県とほぼ同じ) |
人口 | 610万人 |
通貨 | レバノン・ポンド |
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言語 | アラビア語、英語、フランス語 |
民族 | アラブ人、アルメニア人、その他 |
宗教 | キリスト教(マロン派、ギリシャ正教、ギリシャカトリック、ローマカトリック、アルメニア正教)、イスラム教(シーア派、スンニ派、ドゥルーズ派)など |
独立年 | 1943年にフランスから独立 |
国旗の比率 | 2:3 |
在留邦人数 | 104人 |