世界の国旗、基本のシンボル

世界には197ヵ国()の国があり、同じ数だけ国旗があります。
でも、どれもどことなく似ている… なんて、思ったことはありませんか?


旗を分割したようなデザインに、星型円型十字などのシンボル図形。色も、だいたい同じような色が使われています。

歴史を辿ると、旗はもともと、厳しいデザインの制約がある紋章の影響を受けて発展してきました。そのため、紋章のルールの中で、形や色といった一番ベーシックな部分が今でも国旗の基本のように残っています。

国旗はたくさんありますが、形や色で分類するととても覚えやすくなるので、デザインの由来や歴史から国旗を覚えるのがおすすめです。実は、主なシンボルは4つだけです。
この記事では、世界の国旗にたびたび登場する4つのシンボルを紹介します。



丸いシンボル


丸いシンボルは、国旗のデザインではほとんどの場合太陽をあらわします。
通称「日の丸」と呼ばれる日本の国旗も、太陽を描いた旗。



昔から太陽は、日本の宗教や神話・歴史の中で重要な存在でした。

どちらかというと、東洋思想や太陽信仰との関わりが深いシンボルなので、西洋よりも東洋・アジアの国でよく使われてきました。


※例外として、ラオス🇱🇦パラオ🇵🇼のように、満月をあらわしているものや、易学の陰陽思想をあらわしている韓国の国旗🇰🇷のようなデザインもあります。詳しくは、丸いシンボルを使った国旗の記事でも紹介しています。


十字のシンボル


国旗に十字のシンボルが使われているのは、キリスト教の国(キリスト教徒が多い国)です。※全てのキリスト教の国が国旗に十字を使っているわけではありません。


イエスの死後150年くらいまでは、キリスト教を象徴するシンボルはだったそうです。

十字架のシンボルは、キリスト教を公認したコンスタンチヌス大帝の時代に、キリストの受難、復活、救済を象徴するものとして知られるようになり、その後十字軍の遠征によって一気に広まりました。


ユニオン・ジャック」の愛称で有名なイギリスの国旗は、十字のシンボルを組み合わせて作られています。

よく見ると、ユニオン・ジャックは左右対称ではありません。国を統合する際、スコットランドとアイルランドの扱いを平等にするというデザイン上の意図によって、このように斜線がずらされたデザインになっています。(でも、同じ連合国のウェールズの国旗はデザインに採用されていません。)


三日月と星のシンボル


三日月(新月)と星を組み合わせたシンボルは、イスラム教をあらわしています。
中世以降に一大帝国を築いた、オスマン帝国の旗「新月旗」のデザインが、その後のアラブ・イスラム諸国の国旗に大きな影響を与え、広まりました。(現在のトルコの国旗)


三日月と星の組み合わせは、イスラム教の前からあったものです。しかし、オスマン帝国が繁栄しイスラム文化が広まっていくにつれて、次第にイスラム教の象徴と見られるようになりました。また緑色も、古くからイスラムを象徴する色です。


※例外として、シンガポールの国旗🇸🇬は、三日月と星が組み合わさっていますが、仏教徒の割合が多い国です。中華系の住民とムスリム(イスラム教徒)の住民の要望を反映した結果、月と三日月の組み合わせになりました。


星のシンボル


星は、国旗のデザインの中で一番たくさん使われているシンボルです。国によって違いますが、代表的なものでは、それぞれこのような意味があります。


星は吉兆の兆し。また方位を知るためにも重要な目印でした。

数を増やしたり、減らしやすいので、州や地域・民族など、数をあらわす表現によく使われています。またロシア革命後は、社会主義国家のシンボルともみなされるようになりました。


今回紹介した、太陽、十字、月、星は、世界の国旗によく出てくる基本のシンボルです。特に、その国の信仰をあらわしているときには、国の人々のことを教えてくれる、いちばんわかりやすい目印になります。世界の国旗を見るときには、是非このシンボルに注目してみてください。


※ 2024年現在の、国連加盟国193カ国 + 日本が承認している4つの独立国 を足して197カ国としています

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