インドネシア


国旗のデザインの由来と意味


インドネシアでは、「サンサカ(高貴な二色)」または「サンメラープティー(紅白)」の愛称で呼ばれている国旗。

この旗は、6000年前の時代の、太陽と月の信仰に由来すると伝えられています。赤・白は、13世紀末にジャワ島に成立したマジャパヒト朝のシンボルカラーとして使われ、19世紀、オランダからの独立運動のときにもこの配色の旗が使われました。また、イスラム教が伝わる前にこの地方に伝えられていたヒンドゥー教の本には、赤と白は悪と善の象徴だとも記されています。

政府から発行された資料には、は人間や動物の活力となる血液を、は植物の活力となる樹液をあらわす。と説明され、さらに一般的には、は勇気と情熱を、は正義と純潔をあらわすと解釈されています。

この二色旗は、モナコの国旗🇲🇨と同じデザインです。違いといえば、インドネシアの国旗は2:3、モナコの国旗は4:5と縦横比が異なることだけ。色についても、どちらも厳格な規定を持っていません。

インドネシアがこの国旗を採用したとき、同じデザインの国旗をすでに制定していたモナコから抗議がありました。しかし「インドネシアの伝統と歴史を持った旗」としてインドネシア側が譲らず、国連やオリンピックでは、両国が同じ国旗を使用しています。また上下を逆にすると、ポーランドの国旗🇵🇱と同じデザインになります。

インドネシアの国章


伝説の鳥ガルーダを置いた盾型紋章。この国章は「ガルーダ・パンチャシラ」と呼ばれています。盾に民主主義をあらわす牛、国家統一をあらわす菩提樹、公正をあらわす稲と綿、人道主義をあらわす鎖、信仰をあらわす星。そしてガルーダの足には「多様性の統一」という標語が記されています。


ガルーダとは、インド神話に登場する霊鳥(神鳥)で、ヴィシュヌ神のヴァーハナ(神の乗り物として描写される動物、あるいは架空の生き物)として知られ、古代インドネシアの遺跡でもたくさん見られる図象です。

インドネシアは、国民の約87%がムスリムというイスラム教大国ですが、東南アジア諸国では、仏教・イスラム教が伝わる前はヒンドゥー教が広まっていたため、このようにヒンドゥー教にまつわるシンボルが多くの文化・文学・芸術のモチーフになっています。


それぞれ異なるヴァーハナに跨るマトリカ(Matrika)。(上段左から2番目より)ガルダ、孔雀、ナンディン、ハムサ(アヒル、あるいは白鳥)、(下段)水牛、象、ライオン。

18世紀初頭のネパールの絵画悪魔ラクタヴィージャとの戦いで8人の母神を率いる女神アンビカ


ヴァーハナには孔雀、白象、牛、など種類があり、それぞれが仕える神の性質を象徴するものとして描かれます。例えば、シヴァ神のヴァーハナは牛、ブラフマー神のヴァーハナは水鳥、ガネーシャ神のヴァーハナはネズミ、といったように、神によって違う霊獣をヴァーハナとしています。また、それぞれの神が支配する悪徳を象徴するものとして描写される場合もあります。


また、インドネシアでは国営航空も「ガルーダ・インドネシア航空」という名称なんです。そのほか、ガルーダはタイの国章にも使われています。


インドネシアの国名について

ギリシャ語で「インドの島々」という意味の国名。ドイツの民族学者A・バスティアンが地域概念の用語として使用したものにもとづく。通称では「ヌサンタラ(島々の国)」と呼ばれる。


インドネシアの歴史(略史)


インドネシアは16世紀以降、オランダの植民地となっていて、また第二次世界大戦中の3年間は日本の占領下にありました。

1945年に日本が敗戦すると、その2日後の8月17日、スカルノ大統領らが独立を宣言。ところが、オランダが再びインドネシアを植民地化するために侵攻してきます。このとき、日本軍を離脱した一部の日本人約3000人がインドネシアに協力し、共にオランダと戦いました。そして1949年、インドネシアは4年間にわたる独立戦争の末、独立を果たしました。

世界最大のイスラム人口を抱える一方、さまざまな宗教の信仰が認められている多宗教国家です。イスラム教が伝わったのは13世紀頃といわれていて、その後多くの地域ではイスラム化が進みました。インドネシア国民の9割近くはイスラム教徒ですが、インドネシアのバリ島ではヒンドゥー教が残り、ヒンドゥー教徒が9割を占めています。国内には1万4000以上の島があり、300を超える民族が存在しているそうです。

  • 7世紀、スマトラ島にシュリービジャヤ王国が、8世紀にはジャワ島でシャイレンドラ朝がおこる。
  • 13世紀にイスラム教が広まると、15〜16世紀には、スマトラ島にアチェ王国、ジャワ島にマタラム王国がおこり、イスラム化が始まる。
  • 16世紀末にはヨーロッパの勢力が進出し、オランダが長く植民地支配を続ける。この時期に、コーヒーやサトウキビ、茶などを強制的に栽培させる制度が取り入れられた。
  • 第二次世界大戦の間は日本が支配するが、1945年に日本が降伏すると、スカルノが独立を宣言し、1949年にオランダが認める。
  • 1965年にスカルノが失脚すると、スハルトによる長期政権が成立。
  • 1997年に民衆暴動が発生してスハルトが辞任すると、44年ぶりの自由選挙が行われる。
  • 2002年に東ティモールが独立した。

インドネシアの国データ



正式名称 インドネシア共和国
英語表記 Republic of Indonesia
漢字表記 印度尼西亜(略記:尼)
首都 ジャカルタ
略号 IDN
面積 192万㎢(日本の約5倍)
人口 2億5500万人


通貨 ルピア
言語 インドネシア語
民族 大半がマレー系、その他ジャワ、スンダなど約300種族
宗教 イスラム教、キリスト教(プロテスタント、カトリック)、ヒンドゥー教、仏教、儒教など
独立年 1949年にオランダから独立
国旗の比率 2:3
在留邦人数
1万9717人

Information


インドネシア国旗

INDONESIA
(3:5)


スポンサードリンク

関連記事

関連のある国旗