キルギス
国旗のデザインの由来と意味
草原に輝く太陽と、遊牧民キルギス人の移動式テントであるボズウイ(ユルト、パオ、などとも呼ばれる)の天井部分を組み合わせたデザインの旗。ボズウイは、民族の歴史と生活を示しています。
赤は勇敢さと勇気をあらわすと同時に、キルギス人を民族としてまとめあげた英雄で、伝承叙事詩でも謳われている「高貴なマナス」(マナス一族)が使用した色といわれています。黄色は平和と豊かさをあらわし、40本の太陽光線は国内の代表的な部族の数をあらわします。
ちなみに、伝承叙事詩『マナス』とは、8世代にわたるマナス一族が、多民族の統治者による侵略や略奪に抵抗するために、キルギスの民衆をまとめあげ指導して戦う様を描いた物語。9〜10世紀に作られ伝承され、1000年以上の歴史を誇る一大長編叙事詩となっています。
キルギスは、1991年のソビエト連邦崩壊にともなって誕生した、史上初のキルギス人による新興国家です。1992年、一般公募によって新しい国旗を制定しました。イスラム国家としての連帯感よりも、伝統と文化を優先させた、民族色の濃いデザインの国旗になりました。
キルギス・ソビエト社会主義共和国の国旗
ソ連邦時代には、中央に白く細い横線と3本の青い線、カントンに黄色い鎌と槌、五角星を置いた赤旗が使われていました。
キルギスの国章
青い円形紋章。中に、翼を広げた白ワシ、テンシャン山脈からのぼる太陽。小麦の穂と綿花の枝のリース。上部にキリル文字キルギス語で「キルギス」、底部に「共和国」と白地で記されている。空色は勇気と寛大さをあらわします。
この国章は、1993年、キルギスタン共和国から、現在のキルギス共和国と国名を改めた翌年に制定されました。
キルギスの国名について
キルギス語の「kir(キル/草原)」と「giz(ギシュ/遊牧する)」で「草原で遊牧する人々」に由来するといわれている。
キルギスの歴史(略史)
キルギスは、中央アジアの東部にある国で、国土の大半がテンシャン山脈とパミール高原の高地。古くはシルクロードのテンシャン北路の中継地として栄えました。住民は古くから遊牧生活を続け、ウイグル(トルコ系民族)、モンゴルなどの支配を受けてきました。
19世紀からロシアの支配下に入り、1926年、キルギス自治共和国が成立。1936年にはロシア共和国から分離してソビエト連邦を構成する共和国のひとつとなります。1990年にはキルギスタン共和国として国家主権を宣言し、翌年に独立。1993年には、国名を現在のキルギス共和国に変更しました。
日本人とよく似た顔の人が多い国としても知られています。
- 8世紀に、ウイグル族による支配、13世紀にはモンゴル帝国の支配を受け、16世紀からキルギス人が現在の地に移住したとされる。
- 19世紀前半頃までコーカンド・ハン国が支配したあと、1876年ロシア帝国領となる。
- 1917年のロシア革命を経て、1936年、キルギス・ソビエト社会主義共和国としてソ連邦に加入する。
- 1991年、ソ連邦が崩壊してキルギスタン共和国として独立し、翌年に国際連合に加盟、1993年に現在の国名に改める。
- 2001年のアメリカでの同時多発テロ事件以降、アメリカ軍の駐留を受け入れていたが、2014年にアメリカ軍は撤退。翌年、ロシアが中心のユーラシア経済同盟に加盟する。
キルギスの国データ
正式名称 | キルギス共和国 |
---|---|
英語表記 | Kyrgyz Republic |
漢字表記 | 黠戞斯 |
首都 | ビシュケク |
略号 | KGZ |
面積 | 19万8500㎢(日本の約半分) |
人口 | 620万人 |
通貨 | ソム |
---|---|
言語 | キルギス語、ロシア語 |
民族 | キルギス系、ウズベク系、ロシア系、ドウンガン系、タジク系、その他ウイグル系、タタール系、ウクライナ系など |
宗教 | イスラム教(スンニ派など) |
独立年 | 1991年にソ連邦から独立 |
国旗の比率 | 3:5 |
在留邦人数 | 135人 |