カザフスタン


国旗のデザインの由来と意味


空色は、アゼルバイジャンやウズベキスタンなどに見られるように、何世紀にもわたり遊牧を行ってきたトルコ系民族とモンゴル系民族の伝統色。カザフ草原の広大な空の色と平和を象徴しています。金色(黄色)は希望をあらわし、青空に輝く太陽は気高い理想を、舞い上がるベクルート(草原ワシ)は自由をあらわしています。(草原ワシは、夏のあいだはカザフの空に見られますが、冬は北アフリカのような暖かい場所を求めて南へと向かう鳥です。)

旗竿側にある金色の模様は、「忍冬文(にんどうもん)」と呼ばれる、カザフ民族の伝統的な装飾文様です。「忍冬唐草文(にんどうからくさもん)」ともいい、シルクロードを通じて日本にも伝えられました。カザフスタンでは「コシュカムイズ(雄羊の角)」と呼ばれています。

カザフスタンは、ソ連邦時代は、カザフと呼ばれる連邦を構成する共和国のひとつでした。1991年のソ連邦崩壊にともない、現在のカザフスタン共和国と国名を改称し、この地に初めての独立統一国家を誕生させました。現在の旗は、1992年に公募によって選ばれた旗で、カザフの芸術家、シェイクン・ニヤズベコフ(Shaken Niyazbekov)のデザインがもとになっています。


カザフ・ソビエト社会主義共和国の国旗


カザフ・ソビエト社会主義共和国
国旗(1953-91)

こちらは、ソ連邦時代のカザフ・ソビエト社会主義共和国で最後に使われていた国旗です。独立後も、社会主義を象徴する鎌と槌を外した形で暫定的に代用されました。


最高評議会に国旗の試作版を提出する、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領(1992年)


カザフスタンの国章


1992年より使われている円形紋章。
中央にあるのは、カザフの遊牧民が使う伝統的な移動式テント「ユルト」の頂点部分内側。この頂点部分は、カザフでは「シャニラク」と呼ばれます。シャニラクが青空の中に輝き、日光のような光を放っています。そして左右に、神話に登場する馬が二頭、背中合わせになって翼でシャニラクを支えています。


このシャニラク( = ユルトの天頂部分)は、キルギスの国旗にもシンボルとして使われています。※ユルトは、地域によってボズウイとかパオとも呼ばれます。


カザフスタンの国名について

古くからこの地に住むカザフ人の名である「quzzaq(カザク/放浪の民)」にペルシャ語の地名接尾語「-stan(国)」で、「放浪の民の国」を意味する。


カザフスタンの歴史(略史)


カザフ人は、15世紀にウズベク人から分派した民族。彼らは国家を形成することなく遊牧で暮らしていましたが、18世紀の中頃には中国の清朝の支配下に置かれていました。その後、この地に進出したロシアによって植民地化され、19世紀にはロシア領となります。
1936年、ロシア共和国から離れ、カザフ・ソビエト社会主義共和国を創設してソ連邦の構成共和国となり、1991年、ソ連邦解体に伴い独立しました。

ウズベキスタン🇺🇿、トルクメニスタン🇹🇲、タジキスタン🇹🇯、キルギス🇰🇬と合わせて、中央アジア5ヵ国と呼ばれています。

ちなみに、カザフスタンの首都は、旧ソ連時代から1997年までアルマトイでしたが、ヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領により、アスタナに遷都しました。都市設計は国際コンペが行われ、日本を代表する建築家、黒川紀章のプランが採用されました。遷都直後は人口にして約27万人ほどの規模でしたが、都市計画が進んで、人口100万人を超える大都市となりました。
さらに、2019年3月のトカエフ大統領就任後は、首都アスタナをナザルバエフ前大統領のファーストネームにちなむ、ヌルスルタンに改名しました。


  • ボルガ川流域からバルハシ湖の西側に広がるカザフ高原は、紀元前からさまざまな遊牧民の生活の拠点となり、東西交易の主要なルートとしての役割も持った。15世紀後半になって、カザフ・ハン国が成立し、18世紀頃までに広大な領土を支配する。
  • 1860年代に全土がロシア帝国の支配下に入ると、ロシアから移民が入りはじめる。
  • 1917年のロシア革命の時に、自治政府が生まれるが、1920年からはロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の一部となり、1936年、カザフ・ソビエト社会主義共和国として、ソ連邦に加盟。
  • 1991年のソ連邦の崩壊と同時に、カザフスタン共和国として独立。翌年に国際連合に加盟。1990年に大統領になったナザルバエフの長期政権が続いたが、2019年3月にナザルバエフ大統領が辞任を表明。上院議長だったトカエフが大統領に就任した。

カザフスタンの国データ



正式名称 カザフスタン共和国
英語表記 Republic of Kazakhstan
漢字表記 香佐富斯坦
首都 ヌルスルタン(アスタナ)
略号 KAZ(IOC/IPC)
面積 272万4900㎢(日本の約7倍)
人口 1860万人


通貨 テンゲ
言語 カザフ語、ロシア語
民族 カザフ系、ロシア系、ウズベク系、ウクライナ系、ウイグル系、タタール系、ドイツ系、その他
宗教 イスラム教(スンニ派)、キリスト教(ロシア正教)、仏教など
独立年 1991年にソ連邦から独立
国旗の比率 1:2
在留邦人数
163人

Information


カザフスタン国旗

KAZAKHSTAN
(3:5)


スポンサードリンク

関連記事

関連のある国旗